相続土地の処分・法律

相続した不要な土地を国に返す方法|相続土地国庫帰属制度の条件と引き取りサービスの違い

公開日: 2026年7月13日 監修: 負動産リサイクルセンター 専門家チーム

「実家から遠く離れた田舎の土地を相続したが、使い道がなく固定資産税だけを払い続けている」

そのような悩みを抱える方に向けて、2023年4月にスタートしたのが「相続土地国庫帰属制度」です。不要な土地の所有権を手放して国に帰属させることができるこの制度は、スタート以来大きな注目を集めています。

しかし、いざ利用しようとすると、「条件が厳しすぎて申請すら却下される」「結果的に多額の手出し費用がかかる」という現実に直面する人が非常に多いのが実情です。

この記事では、相続土地国庫帰属制度の具体的な「利用条件」や「デメリット」を分かりやすく解説し、制度が利用できない場合の解決策である民間の「有料不動産引き取りサービス」との違いを詳しく比較・紹介します。

1. 相続土地国庫帰属制度とは?土地を手放せる3つのメリット

相続土地国庫帰属制度は、相続した不要な土地を国(財務省・法務省)に引き取ってもらう制度です。

これまで不要な不動産を処分する方法としては「相続放棄」がありましたが、相続放棄は「すべての財産(預貯金や他の実家など)を丸ごと放棄しなければならない」というルールでした。この制度の開始により、「他の財産は相続し、不要な土地だけを選んで手放す」ことが可能になりました。

主なメリットは以下の3つです。

  • 固定資産税の負担が一生分消滅する
  • 草刈りや樹木の伐採、近隣トラブルの管理責任から解放される
  • 「土地だけ」を個別に手放せるため、遺産分割協議がスムーズになる

2. 条件が厳しすぎる?国が引き取ってくれない「5つの却下要件」

画期的な制度に見えますが、実際には国が引き取るための要件(ハードル)が極めて厳格に設定されています。国としても「買い手もつかないような管理が難しい土地」を引き取ると、将来的に税金でその管理コストを賄わなければならなくなるためです。

以下の条件に1つでも当てはまる土地は、申請しても却下(または不承認)されます。

① 建物が建っている土地(建物がある場合は解体必須)

最も多い却下要件です。実家や古い家、物置などが立っている土地はそのままでは引き取ってもらえません。自分で費用を出して建物を解体し、完全に更地にする必要があります。

② 境界が明らかでない土地(境界確定が必須)

隣地との境界線がはっきりしていない、境界杭がない、隣人と境界で争いがあるといった土地は申請できません。事前に土地家屋調査士に依頼して測量を行い、隣人と合意して境界を確定させる必要があります。これには数十万円の費用がかかります。

③ 抵当権などの権利が設定されている土地

住宅ローンの担保(抵当権)が残っている土地や、他人に貸し出している土地(賃借権や地上権が設定されている土地)は引き取りの対象外です。

④ 崖(がけ)がある土地、土壌汚染がある土地

一定の高さ以上の崖や傾斜地があり、崩落のリスクがある土地や、産業廃棄物・有害物質が埋まっている土地は、管理に過分な費用がかかるため却下されます。

⑤ 通路など、他人の使用が含まれる土地

公道に出るための私道として他人が利用している部分がある土地や、お墓(墳墓)がある土地も引き受けられません。

3. 国庫帰属にかかる費用:決して「無料」では引き取れない

「国に返す」と言っても、手続きや管理のための費用は自己負担となります。必要な費用は以下の2点です。

  1. 審査手数料(申請時に必要)
    土地1筆につき14,000円がかかります。もし審査の途中で却下されたり、自ら申請を取り下げた場合でも、この手数料は一切返金されません。
  2. 管理負担金(承認時に必要)
    無事に国庫帰属が承認された場合、その土地の「10年分の標準的な管理費用」に相当する金額を、負担金として一括で国に納める必要があります。
    金額は土地の種類や面積によって異なりますが、一般的な宅地や農地、山林などの場合、原則として一律20万円が基本となります(※一部の市街地や広い土地ではさらに高額になります)。

つまり、建物の解体費用や境界確定の測量費用を除いても、最低21.4万円以上の現金手出しが確実にかかる仕組みになっています。

4. 国庫帰属が使えない場合の救済策「不動産有料引き取り」との違い

「古い空き家を壊すお金(数百万円)が出せない」 「隣人と連絡がつかず、境界確定の話し合いができない」 「そもそも崖地や山林なので国の審査に通らない」

このような理由で国庫帰属を諦めざるを得ない場合の解決策が、民間の「不動産有料引き取りサービス」です。国庫帰属制度と民間の引き取りサービス(当センター)の違いをまとめました。

比較項目 相続土地国庫帰属制度(国) 有料引き取りサービス(民間)
建物の有無 更地のみ(建物がある場合は解体必須) 古い建物・荷物残りでも現状引き取り可
境界の確定 測量・境界確定が必須(隣人の署名捺印が必要) 境界不明・未測量のままで引き取り可
土地の形状 崖地、傾斜地、危険区域などは却下される 崖地、農地、原野、山林も広く引き取り可
手続きにかかる期間 半年〜1年程度(審査に時間がかかります) 最短1〜2週間で登記手続き完了
費用の支払い方法 手数料と負担金の一括前払い(不承認時も手数料返金なし) 契約内容合意後の完全後払い制(追加請求ゼロ)

5. まとめ:あなたの土地に最適な処分方法を見極めるために

相続土地国庫帰属制度は、「すでに更地になっており、境界もはっきりしている綺麗な土地」を処分したい場合には、最も安全に国に返すことができる素晴らしい制度です。

しかし、「建物が残っている」「境界がわからない」「崖や傾斜がある」といった多くの田舎の土地や古い実家においては、解体費や測量費のハードルが高すぎて制度を利用できないのが現実です。

そのような「売りたくても売れない」「国も引き取ってくれない」物件を抱えてお悩みであれば、民間の引き取りサービスへ相談することを検討してみてください。

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